鬼常務の獲物は私!?
こんな私を励ましてくれるなんて……。
皆んなの優しさに、凹んでいた心がじんわりと温かくなる。
「ありがとうございます!」とお礼を言って、言われた通りに笑顔で元気にお弁当を食べ始めたら……星乃ちゃんに待ったをかけられてしまった。
「星乃ちゃん、どうしたの?」
「おかしいでしょ。日菜も他の人たちも、なぜ神永常務について触れないんだ」
その言葉にギクリとしたのは私だけじゃなく、なぜか他の女子社員たちも。
「聞きたいけど……でも、デリケートな問題には触れない方がいいかと思って……」
玉置さんが言いにくそうに言い訳して、私から目を逸らすと、星乃ちゃんがドンとテーブルを叩いた。
「料理まみれの日菜の顔を拭いて、バスローブを緩めに着せた後、気を利かせて、後はよろしくと常務に日菜を押し付けたのに、報告がないのは許せない」
そ、そうだったんだ……。
てっきり私に話がある常務が、星乃ちゃんたちを帰したのかと思っていたのに、違ったんだ。
星乃ちゃんて凄いな。
あの恐い常務に、そんなことを言えるなんて、私と違って度胸があるよね。
変に感心する私に、星乃ちゃんは綺麗な顔で凄んでくる。
「さっさと白状しなさい。
神永常務とどうなったのかを」
「え、ええと……それは……」