鬼常務の獲物は私!?



それで、ハッと思い出したことがあった。

仕事中もついついチョコレートやキャラメルなんかを、こっそり口にしている私。

太らないようにと注意してくれるのは星乃ちゃんで、定期的に私の体重を聞いてくるのだけれど、この前ちょっとだけ嘘をついてしまった。

本当は50.5キロなのに、49キロと……。

これも隠しごとに入るのかもしれないと気づいて、目を泳がせていたら、常務が怖い顔をして詰め寄ってきた。


『すれ違いも勘違いも、二度と御免だ。なにか隠しているなら、今、白状しろ』


私だって、すれ違いたくて勘違いさせていたわけじゃない。

それで恥ずかしかったけれど、意を決して本当の体重を告白し、『49キロじゃなくてごめんなさい!』と謝って以降、甘い物を我慢していた。


そんな話を正直に話すと、皆んなが一斉に声を上げて笑った。

「小っちゃいサバ読みだね。
太ってないから、大丈夫だよ」

「そ、そうでしょうか……」

「日菜さん、もしかして常務に、痩せろって言われたんですか?」

「ううん、あと2〜3キロは太ってもいいだろって。俺は抱き心地のいい、柔らかい体が好きだと言われて……あ……」


後輩の理香ちゃんの質問に、つい、いらないことまで喋ってしまうと、「キャ〜!」とピンクの悲鳴が店内に響いて、猫ちゃんたちを驚かせてしまった。


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