鬼常務の獲物は私!?



太郎くんも、もちろん一緒。

初めは広い部屋に驚いていた太郎くんだけれど、一週間経った今では走り回れることが楽しそうで、それに関しては常務に感謝している。

でも、毎日体を求められることには、正直、どうにかならないものかと思ってしまって……。

「一日置きにしませんか?」と、言いたくて言えないことが、今一番の悩みかもしれない。


同棲をバラされて、一度やんだ恥ずかしい質問攻撃が再び始まってしまった。

赤い顔でイエスとノーだけで答えつつ、パンケーキの残りを口に押し込むようにして食べていた。

早く食べ終えて、猫ちゃんたちのところへ避難したい……。

最後の一切れをオレンジジュースで流し込み、「猫と遊んできます!」と宣言して、テーブルを離れた。

ホッとしながら、ご自由にどうぞと書かれた籠の中の、猫じゃらしを手に取る。

ここは何度か来たことのある猫カフェなので、勝手は知っている。

右手に猫じゃらし、左手にドライフードひと粒を持ち、「おいで、一緒に遊ぼ〜」と猫たちを誘ってみたが、1匹も寄ってきてくれなかった。

猫カフェの猫たちは、人懐っこい子が多いはずなのに……。

その理由は間違いなく、さっき皆んなが大声を上げて、驚かせてしまったせいだろう。


< 253 / 372 >

この作品をシェア

pagetop