鬼常務の獲物は私!?



前に来店した時に一番遊んでくれた、アメリカンショートヘアのマイケルくんも、この店の人気No. 1、スコティッシュホールドのマリリンちゃんも、何度呼んでも来てくれない。

気を遣って店員のお姉さんが抱っこして連れてきてくれたのは、チャトラの毛色の茶々丸くん。

でも茶々丸くんには、思いっきり顔を背けられてしまって……。

猫にこんなに嫌われたのは初めてのことで、ガックリと肩を落としてうなだれた。

今日は私のお祝いという名目での集まりなので、私の好みに合わせてお店を選んでくれた星乃ちゃんだけれど、違う店にしてほしかったと今さら思う。

やっぱり猫カフェは、ひとりで来るに限るかも……。


床に座り込んでしょんぼりしていたら、後ろから「ニャーン」と可愛らしい声がした。

振り向くと若い白猫ちゃんがゆっくりと歩いてきて、私の膝の上に乗っかった。

来てくれたことが嬉しくて、頬ずりしたくなる衝動を抑えつつ、そっと頭を撫でて首もとを掻いてあげると、ゴロゴロと喉を鳴らして気持ちよさそうにしてくれた。

真っ白な体に青い目をした、この猫とは初対面。

お尻を見ないとハッキリとは言えないが、顔つきや歩き方からいって、多分女の子だと思う。

毛艶や大きさから見て、年齢は1歳くらいか。

まだやんちゃ盛りなはずなのに随分と大人しく、人間に例えるなら、おしとやかで清楚な女子高生といった猫ちゃんだった。


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