鬼常務の獲物は私!?



私と小雪ちゃんの相性も大切だが、一緒に暮らすとなると太郎くんとの相性も重要になる。

それで店員さんに「うちには5歳のオス猫がいるんですが、大丈夫でしょうか?」と聞いてみたら、「お嫁さんをもらえていいじゃない!」と明るい返事が返ってきた。


「オス猫くんと小雪ちゃんを会わせて、もし相性が合わなければ、またうちで引き取りますから。
取り敢えず、一週間のお試しでどうですか?」


お試しすればいいのかと、納得してその提案を受け入れることにした。

膝の上の小雪ちゃんの頭を撫で、「うちの子になる?」と聞くと、眠そうな目を開いて「ニャーン」と可愛らしい返事をしてくれた。



夕方、茜色の空の下を帰路に着く。

猫カフェから借りてきたキャリーバッグの中には、少し緊張気味の小雪ちゃん。

「もうすぐお家に着くからね」と途中で何度も声をかけ、マンション前に着いた。

神永常務の家にお世話になって一週間経つが、見上げても最上階が見えない高層マンションに、未だ馴染めずにいる。

他の住人たちの身なりにしても、散歩に出かけるワンちゃんたちの犬種にしても、ど庶民の私とは格が違うと感じてしまい、エントランスを通る度に気後れしてしまうのだ。


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