鬼常務の獲物は私!?



小雪ちゃんを片手に抱えたままで、急いでテーブルや床を拭き、その後にバスルームに駆け込んだ。

ここは前のオンボロマンションと違い、脱衣所はもちろん付いているし、広くて足を伸ばせる立派な浴槽も付いている。

脱衣所でエプロンと服を脱ぎ捨て下着姿になり、小雪ちゃんと浴室に入った。

なにをされるのだろうと怯えている小雪ちゃんはニャーニャー鳴いて可哀相だが、洗わないわけにいかない。

「ごめんね、ちょっとだけ我慢だよ」と声をかけて、素早く丁寧に白い体を洗った。

嫌がられはしたものの、お風呂が大嫌いな太郎くんに比べたら、小雪ちゃんを洗うのはまだ楽だ。

やっと成猫になったばかりの華奢な体と大人しい性格のお陰で、数分でシャワーを終えることができた。

常務が帰るまでに、綺麗になってよかった……。

脱衣所に出てタオルで体をよく拭いてあげて、ドライヤーで軽く乾かす。

すると、輝くように真っ白なかわい子ちゃんに仕上がって、嬉しくなってしまった。

小雪ちゃん……可愛すぎる……。

決めた、絶対にこの子をうちの子にする。
なんとしてでも常務に「飼っていいぞ」と言わせてみせる。


フワフワで艶々の白い体を抱きしめ、顔を埋めてモフモフしていたその時、ピンポーンと玄関チャイムの音がした。

< 262 / 372 >

この作品をシェア

pagetop