鬼常務の獲物は私!?



その後、事務長は私に二度と接触しないという誓約書にサインをして、彰さんの暴行の被害届けも出さないと約束してくれた。

今まで猫可愛がりしてくれた父親に本気で見放されるのを感じ、借りてきた猫みたいに急に大人しくなっている。

なので、こちらも被害を訴えず、理事長先生にも今回のことは報告しないと約束してあげた。

彰さんは「甘いだろ」と不服そうにしているが、私としては理事長先生をこれ以上悲しませたくはない。

高山さんも「今回のことは切り札として、今後のストーカー被害防止のために取っておきましょう」と加勢してくれたので、彰さんも渋々納得してくれた。


生田目事務長のことがなんとか丸く収まり、ホッと胸を撫で下ろした。

後はここの片付けを……そう思った時に、入口のドアが勢いよく開けられ、男性がひとり飛び込んできた。


「生田目さん! やっぱり私には無理です!
店を潰すと言われても、ひとりの女の子を犠牲にするわけには……あ、あれ?」


その人は店長の本間さん。

どうやら事務長に脅されて協力させられていたという予想は、当たっていたみたい。

悩みに悩んでから考え直し、私を助けに来てくれたようだけれど……登場が少し遅かったかも。

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