鬼常務の獲物は私!?
謝って謝られ。お互いを庇い合っていると、ベッドの逆サイドからハハハと笑い声がした。
彰さん以外の人がいたことに今気づき、驚いて右を向くと、景仁会病院の理事長先生が椅子に腰掛けていて、その横に高山さんと比嘉さんが立っていた。
慌ててベッドの上で身を起こし、頭を下げる。
理事長先生は医師だから、倒れた私を心配して付き添ってくれたんだ……。
ベッドの横にある時計を見ると、まだ祝賀会が始まって40分ほど経った時間だった。
今頃、料理が運ばれてお酒も入り、盛り上がっている頃だろう。
主役の彰さんとお客様の理事長先生にまで付き添わせてしまうなんて、彼がそうじゃないと言ってくれても、やっぱりわたしはダメな女だと感じてしまう。
自分の情けなさに、つい表情を暗くしていたら、彰さんを過剰に心配させてしまった。
「日菜子、まだ気分が悪いんだな? 横になっていた方がいい。
めまいは? 頭痛は? 吐き気は? 理事長先生、日菜子は大変な病気なのでしょうか?」
「そんなに心配しなくていいから」と理事長先生は彰さんを宥め、私の脈を測り、どんな症状があるのかと聞いてくれた。
それで、ここ最近の体の不調を細かに伝える。
頷いて聞いていた理事長先生は、その後になぜか「最終月経はいつからいつまでかな」と、恥ずかしいことを笑顔で質問してくる。