鬼常務の獲物は私!?
私ごときが社長と直に話す機会は今まで与えられなかったし、間近で顔を見ることもなかったのだが、こうして見ると、クールな目元が常務とよく似ていた。
性格も似ているのかな?
だとしたら、やっぱり社長も恐い人だということで……。
まずは、神永常務が話し出す。
「社長、営業部の福原を連れて参りました。
昨日の謝罪をさせていただきたく思います」
神永常務の陰に、体半分隠すようにして立っていたのだが、「ほら」と促されて、そろそろと半歩前に進み出る。
「あ、あの……昨日は大変失礼なことをしでかしてしまい、ご迷惑おかけしました。本当に申し訳ありません……」
声が少し震えてしまったけれど、なんとか謝罪の言葉を口にできた。
腰を直角に曲げ頭を下げているので、社長の表情を伺うことはできないが、なにも返事がなく社長室が静まり返っているのが怖かった。
やっぱり怒ってる……どうしよう……土下座した方が許してもらえるかな?
そう考えた時に、「頭を上げなさい」と社長に言われた。