鬼常務の獲物は私!?



差し出された手に掴まり車から降りたら、そのまま手を引かれて目の前のビルへ。

入った先はやはり、まさかのジュエリーショップだった。

入口で立ち止まり足を一歩後ろに引くも、手を握られたままなので、勝手に店を出て行くことはできなそう。


「神永常務、あの、私は……」

「クリスマスにはプレゼントが必要だろう。
遠慮せずに、好きな物を選べ」


そんなことを言われても、困ってしまう。

お付き合いをするつもりがないので、食事をご馳走になるだけでも気が引けるのに、ジュエリーなんて高価なプレゼントをもらうわけにはいかない。


でも、「いりません」とハッキリ言葉にするのもためらわれる。

常務の心遣いを無碍にする断り方はしたくないし、なんと言って断るのがいいのか……。


困り果てていたら、「いらっしゃいませ〜」と笑顔の女性店員がやってきて、神永常務に加勢してしまった。


「彼女さんにクリスマスの贈り物ですか?
それでしたら、こちらはいかがでしょうか〜」


女性店員は困り顔の私には話しかけず、神永常務だけに話しかけながら、私たちを店の奥にあるショーケースの前に連れて行った。

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