鬼常務の獲物は私!?



昨日の星乃ちゃんの占いで、アクセサリー類は不要と言われていたので、今日の私はつけていない。

白いニットのワンピースはハイネックで、その上からネックレスをつけて、鏡に自分の姿を映した。

なんとなく寂しかった白一色の服に、キラリと輝くピンクダイヤの小さな花に、自然と頬がほころぶ。

買ってくれた神永常務に深々と頭を下げてお礼を言い、一緒に店を出た時には、入店時には感じなかったホッコリした嬉しさに包まれていた。


車に戻ると高山さんがバックミラーで私を見て、「福原さんによく似合っています。さすが常務の見立てですね」と、私ではなく神永常務を褒めていた。

おだてやお世辞ではなく、心からそう思っているような言い方に聞こえる。


車はウインカーを上げて、走行車線に走り出す。

私の頭は、まだ聞かされていない次の目的地ではなく、高山さんについて考えていた。

神永常務の第二秘書はすぐ辞めてしまうからコロコロ変わるらしいが、高山さんは長年、第一秘書として常務の横にいる。

それは一体、なぜだろう?

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