鬼常務の獲物は私!?
中学生の時に、隣のお兄さんにふざけてキスされてしまったことを除けば、これが人生初めてのキス。
どうしていいのか分からなくて、目を閉じることもできずに固まり、されるがままになってしまった。
嫌がる素振りを見せなかったのが悪いのか、キスはどんどん深くなり、やがて口内に柔らかくて温かい、なにかが侵入してきた。
もしかして、これは……常務の舌?
大人のキスって、舌が入ってきちゃうものなの⁉︎
歯列をなぞり、上顎を舐めて、私の舌に絡みつく器用な舌先。
あれ……どうしてかな……。
口の中を優しく撫でられている内に、段々と気持ちよくなってきた。
それに加えて、自分のものではない、この味と香り。
神永常務が飲んでいたブランデーなのか……甘いカクテル以外は苦手なはずなのに、それは不思議と嫌じゃなく、むしろ病みつきになりそうな甘美な味がした。
体の奥が熱くなる。あまりの心地よさに、頭の芯が痺れて放心してしまいそう。
私、どうしてしまったのだろう……。
初めての大人のキスは、私の心を驚きから快感へと連れ去った。