仲間ってなんだろう

「そう言えば、紗羅と美那のどっちと幼馴染みなの?」




「紗羅です。」




「紗羅ね!私はあの子の幼い頃は知らないけど、とても美人になったと思う!楽しみね。」




「そうですね。」




晴樹は緊張を覚えた。



高校に入ってから1人で音楽活動を始めるつもりだった晴樹が社長室に呼ばれたのはつい先週のことだった。



「多田君。君は幼い頃からこの事務所で頑張って来てくれたから本当は君の意見を尊重してあげたいんだけど、君のサポートを必要としているグループがいてね。」




始め、晴樹はその頼みを聞くつもりはなかった。



今まで1人でやってきたという自信もあったし、いきなり知らない人の、しかも女子だけのグループに入ることに不安もあった。



「大丈夫。君はやっていける。」




そう言って渡された紙にはこう書かれてあった。




『高校生3人組グループ 「Starlight」

リーダー : Sara メンバー : Mina , Haruki

3人で活動していくことを命ずる。』




中の音楽は止まっていた。



瑞希が扉を開けようと手を伸ばした。



その時、突然扉が開いて中からいつもおろしている長い髪をポニーテールにした沙羅が顔を出した。




「「…あ。」」




沙羅と晴樹が同時に声をあげる。




「あら、紗羅。ちょうどいいわ。こちら晴樹君。あなた達知り合いだったんだって?」




瑞希の声に紗羅は静かに頷いた。




「小さいとき家が近所で…久しぶり。」




「久しぶり。元気してた?」



ちょっと笑ってみせた晴樹に紗羅も笑った。




「うん。そっちも元気だった?」




瑞希はそのやり取りを見て満足気に笑った。




「大丈夫そうね。じゃあ、今頑張ってるダンスと歌、教えてあげてね。もうすぐデビューなんだから!」




「はい!」





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