仲間ってなんだろう
沙羅と美那は普段は普通に仲がいい。
美那が沙羅に突っ掛かるのも失敗したときくらいで、普段はデビュー前と同じぐらい2人で騒いだりすることもあるぐらいだ。
しかし最近になって、沙羅は急に笑わなくなった。
美那が何を言っても頷くだけだし、晴樹が心配して声をかけても何も話してはくれない。
晴樹にはそのことが気がかりで仕方なかった。
「分かった。行ってくるね。」
紗羅は方向転換すると事務所に入った。
ロビーもエレベーターも廊下もいろいろなアイドルやタレントのポスターで埋め尽くされているが、その中で1番数が多いのはやはりStarlightだ。
紗羅はそんなポスターをぼーっと眺めながら瑞希の元に向かった。
不思議と、自分達のポスターを見ても何も感じなかった。
「瑞希さん。」
紗羅が声をかけると瑞希はニコッと笑った。
「紗羅、待ってたわ!ちょっとあなたに相談したいことがあったの!」
「…リーダーだから、ですか?」
瑞希は紗羅と美那の微妙な関係を完全に知っているわけではないが、この頃の紗羅の変わりようでうすうす気づいてはいた。
「…ちがうわ。この後の打ち合わせより前にあなたに話しておきたかったのよ。」
瑞希は紗羅を座らせ、その目を真正面から見た。
「…紗羅。自分だけの歌、作ってみない?」