仲間ってなんだろう
分裂
「え?アルバムでソロも入れる?」
正樹の声が部屋中に響いた。
「うん。それをきっかけにしてこれからソロでも活動してみたらどうかって。
Starightをやめるってわけじゃなくて、1人でも活動を始めるだけだから心配するなって事務所側は言うんだけど……」
「そりゃあ心配するなって方が無理、だよね………」
正樹がため息をついた。
正樹や仁と知り合ってすぐ、沙羅は何か辛いことや悩み事がある度にこの芸能部に顔を出していた。
正樹も仁も仕事の手を止めて親身に話を聞いてくれた。
沙羅にとってここはとても居心地のいい場所だった。
そうしている内に、沙羅は隙間時間を見つけては2人の手が空いている頃を見計らってここに遊びに来るようになった。
「お前はどうしたいんだ?」
「え?」
沙羅は仁のその言葉に驚いて顔を上げた。
「え?って。自分のこれからのこともかかってるんだぞ?
自分がどうしたいかって意見も大事になってくる。」
「自分の意見……」
「あ、そうだ沙羅!」
正樹の椅子に座ってしょぼんと俯いた沙羅に、正樹はわざと明るい声で言った。
「見て見て。これ今朝僕達が担当した記事だよ。」
「おお今朝のか。じゃあ正樹君、俺はちょっと昼飯でも買いに行って来るよ。」
「はい先輩。あ、いいのあったら僕のもお願いしますね~。」
「手数料取るぞ~。」
仁は笑うと部屋を出て行った。