仲間ってなんだろう
「これでアルバムの打ち合わせは終わりよ。
もうあまり時間がないから、何か意見とか疑問点があったら今日の仕事終わりにでも私まで言いに来て。」
ソロのことは沙羅から2人に話すことになっていたので打ち合わせはそれを省いて行われていた。
「「「はい。」」」
3人の返事を聞いて、瑞樹はため息をついた。
「……この頃、グループの空気が暗いわよ。
この後少し時間を開けるから、みんなでそれぞれの思ってることを話し合いなさい。」
それを聞いて3人は顔を見合わせた。
デビュー当時の忙しさは過ぎたものの、3人のスケジュールはきっちり埋まっている。
それを割いてまで時間を開けるなんて、今まででは休憩以外あり得ないことだった。
「分かった?」
「はい。心配しないで下さい、瑞希さん。」
沙羅は無理に笑って見せた。
瑞希がソロのことを伝える時間を作ってくれたことを、沙羅は分かっていた。
「……話し合いたいこと、かぁ。」
打ち合わせに使っていた会議室に取り残され、美那は首を傾げた。
「……ある、だろ。2人とも。」
晴樹の声が会議室に静かに響いた。
その声があまりにも真剣で、沙羅と美那は思わず晴樹を見る。
「この1年、2人といるのとても楽しかったよ。
でもたまに、空気が重くなる時がある。
俺達がどこかでお互いを疑ってるんじゃないかな。」
「……その空気が、表に出てきてるって?」
沙羅の言葉に晴樹は頷いた。
3人の間にしばらく沈黙が続いた。
それは、3人全員がこの関係をぎこちないと思っていた証拠だった。
「…あたし、さ。」
沈黙を破ったのは沙羅だった。
「次のアルバムでね、ソロの曲を出すことになったの。」