仲間ってなんだろう
晴樹は最後まで言葉を続けることなく、美那の手を離すことになった。
パーーン!と大きな音が響き、美那が床に倒れこんだからだ。
美那は頬を押さえて沙羅を睨んだ。
沙羅は美那の頬を叩いて痛む手には構いもせず、美那を見下ろした。
「…ずっと、そう思ってたの?」
「……っ!思ってたよ。ずっとずっと!!
そんなに1人で歌いたいなら、勝手にソロとしてデビューしちゃったらいいじゃない!
もうStarlightに……」
「なら!」
沙羅の目から涙が溢れた。
美那はその涙を見て我にかえったのか言葉を失った。
沙羅は何度もそれを拭ったが、止めることは出来なかった。
「そう言ってくれたら良かったのに!!!」
沙羅はたまらず会議室を飛び出した。
「沙羅!待てよ!!」
晴樹の声と、追いかけようとした晴樹を止める美那の声が遠くに聞こえた気がしたが、そんなことどうでも良かった。
(マサさん、ダメだったよ。)
正樹の言葉を信じて行動したことを後悔したわけではなかった。
どちらかというと清々しささえ感じた程だ。
しかし荷がとれた心に残ったのは、ぽっかり空いた穴だった。
その荷が何かを一緒に持って行ってしまったような感じがした。
「ダメ…だったよ……!」
今はただ、それを誰かに聞いて欲しいだけだった。