仲間ってなんだろう

「…俺さ、最初は沙羅に残って欲しいって、思ってたんだ。」




晴樹は俯いたままそう言った。




「だけどさ、Minaが言ったんだ。」




「…何て言ったの?」




沙羅は出来るだけ笑顔でいるように努めた。



晴樹は何も悪くない。



これ以上晴樹に辛い思いをさせるのは避けたかった。




「Saraには〝歌〟があるからって。Minaとグループを組む前は自分1人でやっていこうと思ってたんだろ?

Saraにはその力がある。

でも、Minaは1人だと芸能界自体から消えてしまうかもしれないから……」




「うん。分かってる。」




「……ごめん。」




残った最後の問題を片付けたのは、MinaがStarlightに残ることを選んだHarukiの意思だった。



それはSaraの負けを意味していた。




「でも、俺は………!」




「ねえ、Haruki。」




沙羅の言葉に晴樹は言葉を続けることは出来なかった。



黙って沙羅を見つめる晴樹に、沙羅は笑って見せた。




「…1年間、ありがとね。HarukiがいなかったらStarlightはここまでやってこれなかったと思う。」




沙羅はそう言うと立ち上がった。




「グループを抜けるのも来週かぁ!あと1週間だけだけど、よろしくね。」




「お、おい。どこ行くんだよ?これからリーダー脱退の発表が……」




「すぐ、すぐ帰ってくるから。」




沙羅はそれだけ言い残すと控え室を出て行った。





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