仲間ってなんだろう
「沙羅!?どうしてここに……!」
突然扉の前に姿を現した沙羅に、正樹は驚いて走り寄った。
「お久しぶりです!
…って言ってもソロの相談に来たのが最後だったから、4週間しか経ってないか。」
沙羅は笑って言ったが、4週間も正樹達に会いに来なかったのは今回が初めてだった。
「そんなことより!これから脱退発表の記者会見だろ!?
もう1時間きってるのに……!」
その言葉通り2人はすでに記者会見で席を陣取った後らしく、仁はいなかった。
「俺も忘れ物取りに来ただけだか……ら……」
正樹は途中で言葉を止めた。
「ごめんなさい……ちょっとだけ、だから。」
それは沙羅が、正樹に抱きついたからだった。
頭1つ分背の高い正樹は、震えている沙羅の肩を見てため息をついた。
「……よく、頑張った。」
「こ、ここに来たら、泣いちゃうから……!
ひっく、我慢、してた、のに……!」
正樹は優しく沙羅を抱きしめると、その頭を撫でた。
「僕が、勇気を出せなんて無責任なこと言ったからだよね。ごめんね。」
それを聞いて沙羅は勢いよく首を横に振った。
「マサさんは何も悪くない…!」
「沙羅、とりあえず座って落ち着こう。」
正樹のその言葉に、沙羅は大人しく正樹の椅子に座った。
正樹も仁の椅子を引っ張ってきてその正面に座った。
「4週間も顔を見せてくれないなんて何かあったかなと思ってたら、昨日の発表だよ。
『1周年アルバムを発売と同時にグループ脱退』って、何があった?」
正樹の口調は優しく、沙羅は次第に落ち着いていった。