仲間ってなんだろう
(分かってます、分かってますよ。入学式から寝坊することが悪いことぐらい。だから…)
「入れて欲しいなぁ…」
「ん?何か言った?」
「うん。早く入れて欲しいなぁ…って。」
女の子は隣に立つもう1人の女の子を見てため息をついた。
もう1人の女の子はそれを聞いて少し笑う。
「私は家の事情で遅れたから悪くないの~」
「分かってるよ、寝坊するのが悪いことぐらい。」
「しかも入学初っ端からね。」
もう1人の女の子は声を抑えるように低く笑った。
「ねえ、名前教えて?遅れて来たら廊下に立ってる人がいるから声かけただけで、名前聞いてなかったね。
私、柴崎 美那。あなたは?」
「加島 沙羅。沙羅って呼んで!」
「うん!じゃあ私のことも美那ね。」
それまでため息ばかりついていた沙羅はそれを聞いて笑顔になった。
美那は髪を器用にお団子にした、活発そうな女の子だった。
それなのにどこか上品で沙羅は関心するようにため息をつく。
「美那は教室入れるよ?ここにいていいの?」
「いいの!沙羅と話したいもん!」
美那はずっと笑顔で、沙羅の顔を覗き込んだ。
「ここの芸能科に来たってことは、それなりの人だよね。紗羅は何をしてる人?」
「作曲と作詞!歌も歌うよ。」
「おお…シンガーソングライター!私ね、歌うのは好きなんだけど作ったりはちょっと…」
「そんなすごいものじゃないの。この程度大勢いるから。」
そんな紗羅の言葉に美那は首を振った。
「私から見たらすごいこと!」
そのとき、教室の中から担任の先生の声が聞こえてきた。