仲間ってなんだろう


正樹は冷蔵庫の前に立った。



そこには正樹と仁が徹夜する時のための夜食や普段の飲み物など、たくさんの物が詰まっている。



そしてその冷蔵庫の上には食器やコップが並べて置いてあった。




「あたしは、芸能活動続けていくべきなのかな……?」




沙羅はボソッと呟いた。



その言葉に、正樹は動きを止めた。



それはコップを取ろうと冷蔵庫の上に手を伸ばしている最中のことで



長袖が引っ張られ、いつも長袖に隠れていた正樹の腕が初めて姿を現した。




「え……?」




沙羅は自分が言った言葉なんかもう頭になかった。



沙羅の声を聞いて我にかえった正樹は慌てて右手首を隠すと左手でコップを取った。



しかし沙羅の頭にははっきりその光景が残っていた。



正樹の手首には赤黒いシミのような、あざのようなものがあった。



それもとても大きく、手首だけに留まらず袖の中に続いていた。



何事もなかったかのようにお茶を淹れてくれる正樹に、沙羅はどうすることもできずにオロオロしていた。




「え、えっと……」




「………」




正樹はお茶を淹れ終わるとそれを沙羅に渡し、元の場所に座った。




「芸能活動を、続けるべきか辞めるかべきか……」




「う、うん。」




右腕のことは触れられたくないんだ、と沙羅は思った。



正樹が顔をしかめて右腕を掴んでいるところは何度か見たことがあるし、自分なら触れて欲しくない。





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