仲間ってなんだろう
「……僕が君達と同じ学校に通っていて、昔モデルをしてたって言ったことあったよね?」
沙羅は頷いた。
正樹はそれを見て少し笑って見せた。
「………でもモデルの仕事は学校を卒業する前に辞めた。この、腕のせいでね。」
正樹はコップを持った右腕をポンポンと叩いた。
沙羅は息を飲んだ。
「卒業する寸前にね、事故に遭ったんだ。
撮影に向かってるときにね。気づいたら周りは火の海。
その中を助かったのは奇跡だってみんなに言われたよ。
けど右半身大やけど。この火傷の痕は手首だけじゃない。
肩まで続いてるし、足だってすごいんだよ。
僕は大学に行くことは決まってたけど、それでも将来はモデルの仕事で生きていくつもりだった。
……大好きだったんだ。
小さい頃からの憧れで、高校生になってデビューしたときはもう毎日が楽しくて楽しくて。
そりゃあ辛いこともあったけど、それでもモデルの仕事が好きだった。なのに………」
正樹は右腕の袖をまくって見せた。
正樹の言う通りあざはそれでも袖の中に続いていて、とても人間の腕とは思えないほど赤黒く、ボコボコだった。
「い、痛い……?」
「いや。全然。」
正樹は沙羅を安心させるために笑って見せた。
「この腕じゃ、もちろん仕事は辞めなきゃならない。
大学に進学して、芸能界はさっぱり諦めたつもりだった。
だけど先輩と出会って…」
正樹はクククと声を抑えるように笑った。