仲間ってなんだろう
過去があっての未来
「沙羅さん!スタンバイお願いします!」
「はーい!」
沙羅は大声で返事をしてギターを手に取った。
「沙羅先輩!頑張って下さいね!」
沙羅が舞台袖に立ったのと入れ替わりに舞台から帰ってきた女の子がニコッと笑った。
「お疲れ様!!ありがとね!」
「いえいえ!また大学にも遊びに来てくださいね!」
後輩の女の子は心配そうに沙羅の顔を覗き込んだ。
「先輩、卒業してから1回しか来てくれてないじゃないですか。」
「あはは。そんなこと言ったってまだ卒業してから2ヶ月しか経ってないじゃない。」
「2ヶ月も、ですよ先輩!先輩がいるとみんな明るくなるんですよねぇ。」
男子達なんか大人しくなるし。と女の子は笑って付け加えた。
Starlightの脱退からもう5年が経ち、沙羅は22歳になっていた。
正樹のアドバイスで沙羅は芸能活動を続けることになり、Saraから沙羅に芸名を変更して元々の希望であるシンガーソングライターとしてデビューした。
紗羅は元々世間に顔が知れていたのもあり、デビューすぐからなかなかの成功をおさめた。
学校の問題もあり事務所は変わらなかったが、グループ部門と個人部門で部署が全然違うためStarlightの時に通ったのとは別のビルに移った。
正樹や仁は相変わらずStarlightを追いかけ続けたがそれは沙羅の次にすぎず、2人の担当する雑誌のほとんどは沙羅になった。
沙羅は相変わらず2人のところに通い続けていたが、2人は5年間何も変わらずあの狭い部屋で仕事をしていた。
しかしこの5年間で大きく変わったのは沙羅だけではない。