仲間ってなんだろう
5年前に晴樹がSaraではなくMinaを選んだ時、美那は心底嬉しかった。
デビューしてから晴樹に惹かれ始めていたのもあったし、何より幼馴染の沙羅を選んでしまうんじゃないかとずっと思っていたからだ。
沙羅が去っていくのを見て、初めて勝てた気がした。
しかし晴樹はいくら美那といても、心から笑うことはなかった。
いつもどこか上の空で、笑ってもそれは表だけ。
仕事場で沙羅に会ったりテレビで見ようものなら、美那が声をかけても振り向いてくれない時もあった。
(沙羅は、もう私達には関係ない。)
沙羅に勝手に対抗心を抱いてStarlightから追い出したのは自分だということは、美那が1番良く分かっていた。
(ひどいことをしてでも欲しかったの。あんたが持っているもの全て。)
リーダーの座も、晴樹からの信頼と想いも、1人立ち出来るほどの事務所からの期待も。
自分が欲しいと思ったものは全て沙羅が持っていた。
しかしその内の1つだったリーダーの座を奪ってみても、気持ちは晴れるどころかどんどん暗くなっていった。
(私は………何がしたかったんだろう。)
自分の思うように行動して手に入れたものは本当に一握りで、失ったものの方が大きいような気がした。