仲間ってなんだろう
瑞希としても、このドラマには2人に出てもらいたかった。
沙羅と仲が悪いまま終わってしまったことは晴樹から聞いていたし、そうなった理由は自分が1年間も気づいてあげられなかったことだと思っていた。
そんな気はしていたものの忙しかったから、など言い訳にもならない。
それに5年ぶりに会って沙羅と話してみたいこともたくさんあった。
晴樹は頷いてみせると部屋を出た。
「ドラマかぁ。」
沙羅とはたまに仕事が重なるぐらいでほとんど会っていない。
話したいとは思っているが、沙羅はそう思っていないことも分かっている。
ドラマの仕事はやりたいが、美那や沙羅のことを考えると晴樹にはどうしようもなかった。
「2人の仲直り……」
それが出来たら、こんな事で悩まなくていいのかもしれない。
「あ。」
そこまで考えて晴樹は足を止めた。
「そうだ。仲直りさせたらいいんだ。」
何も悩む事はない。
沙羅は知人の人に説得されてこの仕事をOKしたと瑞希は言っていた。
自分も美那を説得したらいい。
ドラマが始まれば2人の真ん中に立つことになるだろうから、自分が仲を取り持てばいい。
3人でデビューしてから1年間、ずっとそうだったように。
(沙羅の知人って誰だろう。)
その知人の人も晴樹と同じことを考えてドラマを提案したのかもしれない。
晴樹の頭に浮かんだのは、沙羅がずっと仲良くしていた記者の2人だった。
あの仲の良さを思い出して少し苛立つのを感じたが、誰であれStarlightの仲を考えてくれたのはメンバーとしてもありがたい。
「3人揃ってStarlight」というファンの意見は分裂から5年経った今も変わっていないし、晴樹もそう思っていた。
(絶対、美那を説得してみせる)