仲間ってなんだろう
「Starlightのお2人入ります!」
「「よろしくお願いします!」」
2人の声が部屋中に響き、スタッフの人達もそれぞれ言葉を返してくれた。
Harukiとドラマに出るなんてもちろん初めてで、Minaは緊張のあまりため息をついた。
(沙羅がいなかったらいいのに。)
隣でスタッフと言葉を交わすHarukiの顔は輝いていて、美那はまた胸が痛くなった。
晴樹がドラマに出るように説得してきた時、晴樹は顔を輝かせていた。
SaraがStarlightを去って以来、そんな顔を見たのは久しぶりだった。
「Starlightの今までをドラマにするんだって。もちろん沙羅も来るよ!」
そんな晴樹の顔を見て、美那は嫌だとは言えなかった。
美那が顔をしかめてため息をついた時、さっき2人が入って来た入口の方が少しざわつき出した。
美那は少し嫌な予感がして振り向いた。
その予感は当たっていた。
入って来たのは沙羅だった。
「沙羅さんです!」
「よろしくお願いします。」
そう言って頭を下げた沙羅は、5年経っても何も変わっていなかった。
長めの黒髪も、整った顔立ちも、緊張のかけらも見せない堂々とした表情も
それはデビューしてからずっと美那が憧れ、羨み続けた姿だった。
(緊張してるくせに、現場では隠し通すところぜんっぜん変わってない。)
自分が沙羅を嫌いだと思い出したのはそれが原因だった。
もっと信じて欲しかったのかもしれない。
自分に頼って欲しかっただけかもしれない。
美那は突然浮かんだそんな考えを振り払うようにブンブンと首を振った。