仲間ってなんだろう
もう一度
ドラマの撮影が始まってほぼ半年が経ち、とりあえず撮影は終わりを迎えた。
制作段階から世間の注目は高く、もっと先だったはずの放送日もだいぶ早くに設定されて編集を担当するスタッフは悲鳴を上げた。
「撮影終了、おめでとーー!!」
そんなスタッフの苦労を知ってか知らずか、最後の撮影を終えた現場では小さいパーティーのようなものが開かれていた。
既に撮影を終了したキャスト陣も全員集合し、もちろん仁も正樹を引きずって現場に現れた。
「おーーい!沙羅!撮影お疲れ~!」
「仁さん!?」
驚いている沙羅の頭を仁は笑ってグリグリとかき回した。
「どうだった?俺が提案したドラマ!」
「もー、先輩そればっかじゃないですか。」
正樹はため息をついて腕時計を見た。
「もう夜の9時なのに、なんでそこまでテンションが上がるのか理解出来ません。」
「なんでもいいの!俺はとにかく嬉しいの!」
仁はニコニコしながら飲み物を取りにどこかへ行ってしまった。
「なんか先輩、今日機嫌良いんだよね。」
「今日ずっと?」
沙羅が首を傾げると正樹は頷いた。
「今日撮影が終了するってあらかじめ監督から連絡受けてたみたいでさ。
いくら提案者って言ってもほとんど部外者みたいなものなのに……」
「あはは、良いんじゃないですか?楽しそうだし。」
確かに仁はこの場を楽しんでいるようだった。
いつの間に仲良くなったのか美那を捕まえては笑顔で話をしているし、監督の元に酒を持って行っては下戸だと断られていた。