仲間ってなんだろう
「やります。元々このドラマのオファーを受けた時から覚悟はしてましたから。」
「ありがとう!」
瑞希が笑顔で沙羅の手を取った。
「きっと、断るんじゃないかって思ってたの。
沙羅にとってはあまりにも残酷な話だもの。本当にありがとう。」
瑞希は沙羅の目を見てとても優しく笑った。
「……実を言うとね、もう一度、あなた達が3人で舞台に立つところが見たかったの。」
沙羅もそんな瑞希につられて笑った。
瑞希は昔のStarlight内の関係が良くはなかったことに気づききれなかった。
そのせいで沙羅の脱退にまで至ったのだと、自分を散々責めたはずだ。
「私も、楽しみです。今までありがとうございました。」
沙羅は初めて瑞希にちゃんとお礼を言えた気がした。
「それじゃあ、また番組のことはあなたのマネージャーに連絡させてもらうわね。
それまで待ってて。」
「はい。」
「沙羅。」
沙羅が声のした方に振り返ると、そこには複雑な顔をした美那と春樹がいた。
「本当にいいの?」
春樹の不安そうな声に沙羅は笑顔で頷いた。
「いいよ。」
その瞬間、2人の顔が笑顔になった。
「良かった!1度だけだけど、頑張ろうね!」
美那の明るい声に春樹もホッとしたようにため息をついた。
それと同時に、春樹は少し淋しいとも感じた。
沙羅がいいと言えば、春樹はStarlightを再結成したいとすら思っていた。
だけど沙羅は「一度でもいいのなら」と言った。
春樹は笑顔を浮かべながらも心の中でため息をついた。
(これからもずっと一緒に、いたかった。)
せっかく5年ぶりに普通に話せるようにまでなったのに
このドラマが終わればまた元の関係に戻りそうで、春樹はそれを怖いと思った。