いつでも傍にいるから。

「加賀、アンタ美穂にふられるかもよ？」



「…………はあっ！？」



智也君は大きな声を出して私の方を見る。


私は亜紀の言った言葉の意味が解らなかった。



「なんで？　私そんなこと言ってないじゃん！」



「え？　だってさっき、昔好きだった人が目の前にいたらどうするって…」



「な、なんとなく聞いただけだから！」



「……美穂、本当になんとなくだよな・・・？」



智也君のこちらを見る目が小動物が見せるような可愛い目になっている。


可愛いと思ってはいけない、彼は可愛いといわれるのがすごく嫌いだから。



「本当になんとなくだよ」



私は智也君を安心させようと笑ってそう言った。


彼はしばらく私の言葉を聞いて考えていたが、ならいいと言って自分の席に着いた。



ああ、私本当に好かれてるなあと感じ、少し胸が温かくなった。