Christmas Rose
母の言葉は冷たくアリスの心に突き刺さった。
まるで全身から力が抜けるようだ。
足者が深い闇に飲み込まれていくようだった。
「…申し訳ありません。」
すると、アリスの前に黙って話を聞いていたシドが立った。
そして膝をつくと、母とソフィアの前で深く頭を下げた。
「…ギルティ国第一王子、シドでございます。この度は私の妻が、他国の王室事情に口を出し大変出すぎた事を致しました。」
シドの言葉に母は視線を逸らした。
「…私達はすぐに退散する事に致します。」
足元が覚束ないアリスをルイが支えた。
「わ、分かって頂ければ….」
母の言葉にシドは立ち上がり、アリスの肩を抱き寄せた。
「…ですが。」
部屋を出て行こうとしたシドは振り返った。
「…アリスは確かに今、ギルティの王太子妃です。この国とはもう関係はない。だが、母と子の繋がりは消えることはない。赤の他人になる事など、あり得ないことですよ。」
そう言って、部屋を後にした。