Christmas Rose
ゴーンゴーン・・・
広場の大時計が鳴った。
アリスはリリーと共に、ローブを羽織り正体がバレないように見守った。
ギィ・・・
扉が開き、アランが現れた。
国民からは罵声やヤジが飛んだ。
アランの後ろでは、ソフィアが国民達の声を聞いて表情を歪めた。
「・・今頃出てきて何を話そうってんだ!!!!」
「アリス様を時期王女に!!!」
アランはしばらく瞳を閉じて、静かに国民達の罵声を聞いた。
アリスはそんなアランの姿に手をギュッと握りしめた。
そして、ゆっくりと瞳を開けるとアランは頭を下げた。
「・・・っ!」
その姿に、国民たちは一瞬言葉を失い頭を下げるアランをに視線が集まった。
王が、頭を下げるなんて・・・・。
暫くの間頭を下げていたが、辺りが鎮まるとアランは顔を上げた。
「・・国民の皆様の前に出ることが大変遅くなりました。アステル国国王に即位したアランです。」
アランの声が国中に響き渡った。
「今日、この場を借りて皆さまの前でもう一度この国の王になることを認めて頂きたい。」
アランはもう一度頭を下げた。
「・・・アラン王子がアステル国国王に即位されることを支持致します。」
すると、部屋の中から車いすに乗った前国王が現れた。
「・・国王様だ・・」「国王様・・・」
前国王の登場に国民はざわめいた。
「・・すまない。私がこんな事になってしまい、ちゃんとした戴冠式も行えぬままアラン王子に政権を委ねてしまった。私からもお詫び致したい。」
国王はアランに対してそう伝えた。
国王は兵たちに支えられながら立ちあがった。
「・・今、ここに宣言する。今日、この時よりアステルの新しい時代が始まることを・・!」
アリスは父の言葉に胸が締め付けられた。