Christmas Rose
「・・レイドとリエル、若い二人の未来を祝して。」
グラスが交わされ、城内は一層盛り上がった。
レイドの隣に立つのは先ほどのリエル。
表情は硬く、レイドとの間にも微妙な距離がある。
大勢の人たちが、国王と王妃の元へお祝いの言葉を述べに向かっている。
「・・シド、私たちも行かないと・・」
シドは拳を握りしめ、王妃を睨みつけた。
「国王陛下。」
シドとアリスの登場に、周りの人たちは道を空けた。
「おめでとうございます。」
「ありがとう、シド。」
国王は優しくシドに微笑みかけた。
「・・リエル様はあなたの妹になることになります。よくしてあげて下さいね」
王妃はアリスの手を取って言った。
「あ、はい・・」
パシッ
すると、シドがアリスの手を引いた。
「・・・・」
王妃は冷たい視線をシドへ向けた。
あ・・・
この感じ・・
アリスは、昔母親が自分へ向けていた視線を思い出した。
あの時と、同じ・・・。
あの時の瞳と・・・。
「アリス?」
急に黙り込んだアリスに、シドが振り返った。
「ううん・・何でもない。。」
そして、次にレイドとリエルの前に出た。
「おめでとう、レイド。」
シドは真っすぐにレイドを見て言った。
レイドはそんなシドに少し気まずそうな顔をした。
「おめでとうございます。」
アリスはリエルに花を渡すと、受け取ったリエルの瞳に一瞬涙が浮かんだように見えた。
リエル様・・・?