Christmas Rose


「・・・キース様のお嫁さんになるために生きてきたのに・・。突然、レイド様との結婚が決まって。。」


ポタポタと手の甲に涙が溜まっていった。



「・・リエル様。。」


アリスはリエルの背中に手を当てた。


そうだったんだ・・あのキース様が婚約者。。


やっぱりレイドとリエルの結婚は急に決まったようだ。

婚約者がいるのにどうして・・。



「・・もう結婚は決まった事。それにスコル国としてはギルティとの繋がりは重要・・。私に断ることなんて出来ませんでした。でも私がもっと悲しかったのは、さっきの婚約発表の時に最前列にいたキース様が、平然としていらした事です。」


アリスも先ほどの光景を思い出した。

他の招待客と一緒に、レイドとアリスに向けて拍手をしていた。



「・・キース様は、私のことなんて・・・」



ガサッ!!!


「・・誰だ。」


アリスは立ち上がった。


中庭の塀の上に人影が・・・。


ザンッ!

人影は、塀から飛び降りるとこちらへむかって歩いてきた。


アリスはリエルの前に手を出した。


侵入者・・・。武器はない。


月が雲から顔を出し、男の姿を照らした。



「・・キース伯爵。。」



右腕の袖が血で滲み、あちこち傷だらけのキースの姿にアリスは驚いた。


「・・流石、ギルティの兵士達だ。手ごわいな。」


「・・キース様!!」



リエルはキースへ駆け寄った。


腕には剣で切られた傷後が。


兵たちを押し切ってここまで来たのか・・


「どうしてここへ?!馬車でスコルに戻られたのでは・・」



「・・お前と何も言葉を交わさずに、帰るわけにはいかない。」


キースは涙で濡れるリエルの頬に触れた。




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