Christmas Rose


次の日の早朝。

アリスは静かに隠し部屋の扉を開けた。

中にキースとリエルの姿はない。


アリスの心臓は一瞬締め付けられた。

まさか、二人で城を抜け出したんじゃ・・・。


「・・・?」

すると、テーブルの上に一通の手紙が置いてあった。


羊皮紙に書いてある一行の文を読んでアリスはほっと胸を撫でおろした。


”リエル様は部屋まで送りました。ありがとうございました。”


アリスは隠し部屋を出ると、小さな火がパチパチと鳴る暖炉の中に手紙を投げ入れた。

羊皮紙はあっという間に灰となった。




***

一週間後、リエルとレイドの結婚式が行われた。


急な婚儀となったが大勢の人々が二人の門出を祝った。


あれから顔を合わせる機会がなく、アリスはリエルの事をずっと心配していたが美しい純白のドレスを着て、長いバージンロードをゆっくりと歩いている。

参列者の中には見守るような眼差しのキースがいた。


二人はもう、会うことはできない。

二人の気持ちを考えると、アリスは目の奥が熱くなった。



その夜は遅くまで宴が行われた。


シドはいつも通りホールに残って王族達の相手をしている。


アリスはリエルの姿を探した。


いない・・もう部屋に戻ったのかな・・。


すると、城から出て行くキースの姿が目にとまった。


「キース伯爵!」










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