Christmas Rose
身体がゆっくりと離れると、シドはジッとアリスを見つめた。
二人は瞳を閉じると、ゆっくりとキスをした。
コンコン
すると無情にも突然ドアが乱暴にノックされた。
「ゼノです。マグより聞きまして、二人の生活していた場所を突き止めました。」
シドはアリスの身体を離して、ドアを開けた。
「…全く、お前は仕事が早過ぎる。」
シドは溜息まじりに呟いた。
部屋の中で、アリスも顔を赤らめた。
「・・王妃様とレイド様が暮らしていた場所が分かりました」
ゼノはテーブルの上に地図を広げた。
ギルティの城下町の地図だ。
街外れにある「聖ローズ大聖堂」と記された建物を指差した。
「・・お二人は城を出られた後ここで暮らしていたようです」
シドはじっと地図を見つめた。
「・・明日、その教会へ行く。」
***
翌朝、シドとゼノは朝早く城を出て行った。
アリスは二人を見送りに門まで出ていた。
「アリス様。」
声をかけられ振り返るとレイドが立っていた。
「レイド様…おはようございます。」
「兄上は、どちらかへお出かけに?」
レイドは馬で走っていく二人の背中を見つめながら言った。
「あ、えっと・・城下町の視察に。。」
アリスは咄嗟に嘘をついた。
二人がレイドが暮らしていた教会を探る理由はアリスにも分からない。
「・・リエル様とは、どうですか・・?」
アリスの言葉にレイドの表情は少し曇った。
「・・仲良くしていきたいと思っていますが、なかなか。。」
最近城ではレイドとリエルの不仲説をよく耳にする。
元々、ギルティとスコルは隣国同士で領土争いなどあまり関係は良好ではなかった。
数年前より、両国の対立をなくそうとい動きは少しずつ始まっているようだが…
リエルがレイドを拒絶しているという噂が一気に広まっていた。