Christmas Rose
翌日の早朝、レイドはシドに呼ばれて城の闘技場へやって来た。
先に来ていたシドがレイドに木刀を差し出した。
闘技場に、木がぶつかり合う音が鳴り響いた。
両者一歩も譲らず、剣の腕には地震のあったシドも少し息が上がって来た。
「…っ、すまなかった。お前は俺の実の弟なのに疑っていた。」
「…いえっ、僕も王の子供であることは最近聞きました。」
シドが一瞬の隙を見て、レイドの木刀を宙に跳ねた。
「なかなかの腕前だった。これからどちらが王になろうと、力を貸しあっていこう。」
すると、レイドは地面に落ちた木刀を拾いながら言った。
「…僕は王位継承権を放棄するよう父へ伝えました。」
レイドの言葉にシドは驚いた。
「何故だ。本当の息子だと証明されたというのに。」
「いくら王家の血を受け継いでいると言ってもつい最近まで何も知らずに教会で暮らしてた僕に国を任せたい民はいないでしょう。ですが、これからたくさん勉強して少しでも兄上の助けになれるよう努力します。」
レイドの真っ直ぐな瞳にシドも微笑んだ。