Christmas Rose
第1話 旅立ち
◆◇◆◇◆
女に生まれてきたことを、どれだけ憎んだか――。
「…っは!!!」
キィンと剣の音が鳴り響き、青い空に一本の剣が舞った。
「こ、降参です…!」
剣を顔に突きつけられ騎士団のレオは尻餅をついた。
「…情けない。それでも王宮を守る騎士団員か。」
プラチナブロンドの美しい髪が風に揺られながら、鋭い目つきの少女が冷たく言い捨てた。
この国の第二王女 アリス。
王女だというのに、彼女はドレスではなく騎士と同じ格好をし、汗と血が滲んだ剣を腰に収めた。
「…アリス。」
名前を呼ばれて振り返るとこの国の王であるアリスの父が立っていた。
「…また随分と剣の腕が上がったな。」
「いえ父上。この国の未来を背負ってゆくにはまだまだ力不足です。」
アリスの言葉に、国王は眉間に皺を寄せた。
「…今晩、私の部屋に来なさい。お前に話がある。」