Christmas Rose


窓を開けると、まるで絹のような朝靄が庭一面を覆っていた。

ギルティに来て四日間。


「…エド!!一体どうなっているんだ!」


アリスはテーブルに拳を叩きつけた。

翌日には戻ると言っていたシド王子は一向に姿を現さない。


もう明日は結婚式だというのに。


「…いくら私が小国から嫁いできたからといって、いずれこの国の妃になるんだ。こんな扱いがあるか!!」

エドも困ったように表情を歪めた。


アリスは溜息をついた。

コンコン

すると、ドアがノックされて世話係のマリア夫人が入って来た。


「…アリス様、お召替えのお時間です。」

ここに来て四日。

まだ式を挙げていない為、城の中を出歩く事は出来ず、一日のほとんどをこの部屋の中で過ごしている。

何処かへ出かけるわけでも、誰かに会うわけでもないのに、一日に三回ドレスの着替えがある。


「…あの、シド王子はいつお戻りになるのですか?」



アリスはついにマリア夫人に問い詰めてしまった。


「…はぁ、恐らく今夜には。。」

曖昧なマリアの言葉に今日も会うことは叶わないとアリスは落胆した。



いくら王子だからって、こんな自由が許されるのか…


全く、一体どんな王子様なんだ。


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