Christmas Rose
シドはアリスを見るとにっこりと微笑んだ。

「あの場で俺が王子だって言っても信じないだろ?」


それはそうだけれど……



すると、シドがそっとアリスの前に手を差し出した。


「な、なに・・・?」

「部屋まで送ろう。明日は丸一日、息を突く暇もないだろう。今夜はゆっくり休むんだ。」


アリスはシドに部屋まで送ってもらい、ベッドに入った。



シドが・・・この国の王子。。

こんな偶然があるんだろうか。

城を抜け出し、湖で偶然出会った人が自分の夫となる人なんて。

頭の中は大パニックだったが、シドに言われた通り今夜は早く休むことにした。


―翌朝ー


何やら周りがうるさくて、ゆっくり瞳を開けるとアリスは驚いて飛び起きた。



ベッドの周りには世話係のマリア夫人を始め、10人ほどの侍女達がずらりと並んでいた。


「おはようございます、アリス様。さぁみなさん。」


マリア夫人が手をパンパンと叩くと、侍女達がアリスのネグリジェを脱がし始めた。


「ちょ・・自分で出来ます。」


「いけません。王大子妃様ともあろうお方が、自分でお支度をするなど。」


マリア夫人の言葉に、アリスは手を緩めた。


侍女たちにより、アリスは純白のドレスに身を包んだ。


そして、長い長いヴェールをつけた。


「まぁ・・・なんとお美しい・・」


マリア夫人を始め侍女たちはうっとりとため息をついた。


いよいよ・・ギルティ国の王大子妃に・・・。
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