Christmas Rose
リーンゴーン…

街中に教会の鐘が響き渡った。

シドとアリスの結婚式が盛大に執り行われた。

貴族や他国の王族およそ5000人が若い二人の結婚を見守った。

司教の前でアリスはシドの妻になる事、そしてこの国の妃になる事を静かに誓った。


昨日の夜、シドが言っていた通り今日一日、息つく暇は本当になかった。

式が終わると、大広間でパーティーが開かれた。

大庭園では花火が何発も上がり、人々は祝いの杯を交わした。

街中がお祭り騒ぎとなり、アリスがやっと部屋に戻れたのは深夜0時を過ぎていた。


ソファーにぐったりともたれかかっているとマリア夫人が入って来た。


「まぁま、アリス様。ゆっくりしている時間などありませんよ。さぁさぁ、バスルームに行ってください。」

バスルームに押しやられると、5人もの侍女達がアリスの身体を丁寧に洗った。

アリスは疲れ切っていて、自分で洗える、と抵抗する気力すらなかった。


身体中に香水を振りかけられると、寝室に案内された。

「今夜はジル様と初めて迎えられる初夜です。ここでシド様をお待ち下さい。」

ふかふかのベッドに上がると、一気に眠気が襲ってきた。
< 25 / 190 >

この作品をシェア

pagetop