Christmas Rose


マリア夫人にシドを待っているように言われたが、重い瞼は次第に閉じていった。


ガチャ…

シドが部屋に入ると、アリスは大きなベッドの片隅に小さくなって眠っていた。

そんな様子を見るとふっと笑みが溢れた。

ベッドに腰掛け、そっとアリスの髪を撫でた。

サラサラした美しいプラチナブロンドの髪。

ふと腕を見ると、何箇所か切り傷があった。

この少女が、王になる為剣術も教わっていたなんて信じられない。


シドは毛布を掛け直すと、部屋を後にした。


その夜アリスは夢を見た。

幼い頃、勉強をサボってフィオナと遊んでいるところを父に見つかり、とても叱られた。


《お前はこの国の王になるんだ。遊んでいる暇などない》

遊んでいた人形を奪い上げられ、代わりに剣を渡された。


幼いアリスは泣きながら母の姿を探した。

いくら探しても母は見つからない。

《…母上。母上っ…!》
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