Christmas Rose
部屋に戻ろうとして、中庭を出ようとした時に、反対方面からこちらへ向かってくるマリア夫人が見えた。
「…アリス!」
「きゃっ?」
突然腕を掴まれて、柱に身を隠した。
シドの胸の中にすっぽりと収まる体制のまま。
ドクン…
「…ちょ、何で隠れるの??」
「しっ。朝は誰かが起こしに来る。それより前に自分から起きてはいけないんだ。」
シドはアリスの耳元でそっと囁いた。
それよりも、近い…!
マリア夫人がゆっくりと二人が隠れる柱を通り過ぎて行った。
シドの腕の中、アリスは心臓がバクバクと鳴り響いていた。
「…見つからずに済んだ。早く部屋に戻ろう。」
シドはアリスの腕を掴んで中庭を出た。
アリスは赤く火照る頬に手を当てた。