Christmas Rose
「…アリス様、あの女にお声をかけるなんて、まぁ何て事を…」

「え…?」

アリスはキョトンとした。

宮廷内の夫人には私から声を掛けなければいけない筈じゃ…

「あの女は身分こそ高くはないのにご自慢のお色気で国王を誑かし、最近では自分をシド王子の側室に申し出たんですのよ!」

「側室に?!」

アリスはもう一度マルヴィナを見た。

離れたところからこちらに向かって鋭い視線を向けている。

「噂では、国王とも夜を共にしたって話ですわよ。」

アリスの国では、妻以外の人女性を側室を迎えるなんて考えられなかった。

シドの側室候補か……


「まるで王妃気取りであんなに派手に着飾って。あの女の兄は賭博に女遊びに碌な者ではありませんのよ!」

「そうそう。毎度毎度借金を作ってはマルヴィナ夫人にたかって払わせているんですのよ。」

マルヴィナのアリスを見つめる視線は他の夫人には感じられない何か強い意志のようなものが感じられた。


音楽会はなんとか終わり、部屋に戻るとアリスはどっと疲れた。

以前は毎日剣の稽古に職務にと働いていたのに、夫人達の相手がこんなにも疲れるとは思わなかった。


「お疲れ様です。アリス様。」

聞きなれない声にアリスは振り返った。


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