Christmas Rose
婚儀から一週間。
アリスは夕食を済ませると、昼間マグに習った勉強の復習をしていた。
本を読みながら、マグのことを思い浮かべた。
ギルティへ嫁いできて思ったこと。
それは王太子妃というものは、とても暇であるということだ。
今までは毎日時間に追われていた。
政治、剣術、勉学と目の回るような生活だった。
しかし、この城での夫人たちを見ていると昼間はお茶会に音楽会と随分と暇を持て余しているようだ。
そんななか、マグは女性で唯一、王室の執務を担当している。
毎日忙しそうに働いている姿を見ると、どこか以前の自分の被って見えた。
コンコン
ドアがノックされ、侍女が入って来た。
「…今宵もシド様は業務で遅くなるとの事。お先にお休みくださいとご伝言をお預かり致しました。」
「…分かった。」
教育係のマリアからは夜はシドの帰りを待つように言われている。
アリスの最も大切な役目。それはお世継、次期国王を産むこと。
しかし、ここへ来て未だ夜の契りを交わしてはいない。
シドは毎晩のように理由をつけては先に休むようにとの伝言を侍女から聞いていた。
最近では、ろくに顔すら合わせていなかった。