Christmas Rose

第2話 嫉妬

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チュンチュン…

翌朝、まだマリア達が起こしに来る前にアリスは目が覚めてしまった。

仕来りで、誰かが起こしに来る前に自分から目覚めてはいけない。

しかし、喉が渇いていたのでアリスはコッソリと部屋を抜け出した。


静かに廊下を歩いていると前方から侍女達の話し声が聞こえてきた。

慌てて大きな時計の後ろに身を隠した。


自分から起きてはいけないなんて本当に窮屈なところだ。


「…本当に？！」

侍女達の話し声がだんだんと近づいてくる。

アリスは見つからないことを祈りながら手を握りしめて侍女達が通り過ぎるのを待った。


「…シド様は昨夜もマルヴィナ様のところを訪れたみたい。ここ最近は毎晩だって！」

侍女達の会話に、アリスは耳を澄ました。


「どうやらシド様はマルヴィナ様に夢中で、アリス様とはまだ契りをお交わしになっていないんですって！」

笑いながら横を侍女達が通り過ぎるとアリスは時計の後ろから出た。

シドがマルヴィナ様のところへ…

マルヴィナ様はこのあいだのお茶会で一度だけ会った。

人一倍派手に着飾りシドの側室を狙っているお方…