Christmas Rose
シドがマルヴィナ様のところへ通っていない?
「…シド様は毎夜日付が変わるまで公務をなされております。」
「公務の後に、マルヴィナ様のところへ行かれているのでは?」
マグは首を横に振った。
「…この塔からマルヴィナ様のいる西の塔まで行くのに、中門を通らねばなりません。中門は中庭と通じているので警備の兵がいなくなる午後9時には完全に閉じられます。」
中門…
思い返していると、中庭に出た時に大きな門があったことを思い出した。
昼間は開けっ放しだが、夜はあの大きな門が閉じられているんだ…
「男が10人係でやっと開く門です。いくらシド様といえど、深夜遅くに毎晩あの門を開けることは不可能です。」
「でも、シド様は部屋には戻って来ていない。戻っていたら物音で必ず目がさめるはずだ。幼い頃からそう身体が覚えているのだ。」
マグとアリスは顔を合わせた。
シドは、一体何処に……