Christmas Rose
カサ・・・
「・・誰だ。」
人の気配に気がついたシドは振り返らず静かに言った。
アリスとマグは恐る恐る顔を見せた。
シドの隣で馬車に乗ろうとしていた女の人はこちらを振り返った。
「・・・アシア様。。」
マグが驚いたような表情で言った。
アシアと呼ばれた女性はマグを見て優しく微笑んだ。
「マグ、久しぶりでございます。こちらのお方は?」
アシアはアリスを見た。
「・・王太子妃のアリス様でございます。」
「アリス様・・・」
アシアはゆっくりと丁寧に頭を下げた。
「お初にお目にかかります。アシアと申します。」
大分痩せ細っているようだが、品の良く知性が内面からあふれ出ているような女性だ。
「・・・アリスもマグもこんな夜更けにどうした。」
「申し訳ありません。。」
マグにつられアリスも頭を下げた。
「アシアは私の乳母だ。身体の具合が悪く今夜、城を出ることになったのだ。」
アシアは寂しそうな眼差しをした。
「アリス様。」
アシアは覚束ない足で、アリスに近寄った。
「シド様の事を、よろしくお願いします」
それだけ言うと、アシアは馬車へ乗りこみ静かに城を去って行った。