Christmas Rose
バタン!!


アリスは部屋のドアを乱暴に閉じ、ベッドに拳を叩きつけた。


カイル王子がこの国の時期国王になり、私はギルティに嫁ぐだと……!!


なんの為に、女を捨て剣を磨き、政治や歴史、この国の王になるべく全てを費やしてきたんだ…!!


私が女だから…


アリスは何度も何度も拳を叩きつけた。


ベッドに、悔し涙が滲んだ。

部屋を出て、馬小屋へ向かった。

馬に跨り、王宮を抜け出した。

目的もなく、ただひたすらに走った。

この何処にもぶつけられない激しい怒りと悔しさは、どうしたらいいのか。


涙が頬を濡らした。

涙を流したのは、いつ振りだろうか。

アリスには幼少期などなかった。


物心ついた頃から、剣術、礼儀作法、歴史、政治と王になるべくして育てられた。


父親と遊んだ記憶などない。


母親の温もりなど、アリスは知らない。


湖の畔まで来ると、アリスは馬を降りた。



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