Christmas Rose
しかし、生まれてきたのは女。
私だった。

母は生まれてきたのが王女だと知ると落胆した。そして、周りから世継ぎを産めなかった妃と陰口を叩かれすっかり気を病んでしまった。


男はアリスの話を静かに聞いていた。

アリスの瞳には、再び涙が滲んだ。



「母は、私を恨んでいた。女に生まれてきてしまった私を…。母親の愛なんてしらない。愛されたいとも思わない。ただ、私は体の弱い姉に変わり、この国の王となる為女を捨て全てを捧げてきた。」


男は黙ってアリスの話を聞いていた。

アリスは自分でも驚いていた。


今、会ったばかりの見ず知らずの人にこんな事を話しているなんて…


今までずっと心の奥底に秘めていた事を言葉にしたのは初めてだ。


レオにすら、弱音など吐いた事はない。


本当は限界だった。


誰かに聞いて欲しかった。


王になる自信などない。


女の私についてくる者などいないのではないか。


何故、女になど生まれてきてしまったんだろう。


私が男だったら…






母は私を愛してくれたのか…

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