Christmas Rose
「…どうした。何が書かれていたんだ。」
シドも手紙を受け取り内容を確認した。
アリスはフラフラとした脚付きで、窓辺に立った。
「これは…」
ルイの文章を読み、シドも眉間にしわを寄せた。
書かれていた内容はこうだ。
ーアステルに入国して宿屋へ泊まろとした時、必要以上に身元を調べられました。また、街へ出て食事を取ろうとしたがほとんどの店が閉まっていた。街の人たちの話では、アステルは国王が変わり新たな時代が始まると期待していたが、新国王は国民達からの指示が得られずにいると。まだアステルへ入国したばかりでなにも分からないが、少しの間ここに留まり私も調べてみます。ー
「…新国王というのは、姉上の…」
「はい。他国の王子です。。」
アリスは手をギュッと握りしめた。
「…アステルに行きたい。シド、許可を出してくれ。」
「待て。この文を読む限り、様子はおかしいが暴動が起こっている訳でもない。ルイもまだ何も分からないと書いてある。」
シドは冷静にアリスには告げた。
「…暫く様子を見よう。むやみにアステルへ赴き、いらぬ騒ぎを立てることは良くない。アリスは今はギルティの王太子妃だ。」
シドの言葉にアリスはハッとした。
そうだ、私はもうアステルの人間ではない。。
私がアステルへ行ったからと言って、何か出来る事は何一つないんだ…
「アリス様…」
メアリーが心配そうな表情で見つめた。
「…ごめん。取り乱して…少し頭を冷やしてくる。」
アリスはガウンを羽織ると部屋を出て行った。